平壌の中心部を流れる大同江にある綾羅島が変貌している。
大同江が蛇行し、そのゆるやかな流れの中にその島がある。
周囲6キロの小さな島だが、20余年前、平壌で開催された世界青年学生祝祭のために15万席のメーデー・スタジアム(5.1競技場)が建設された。
このスタジアムは、ギネスブックにも載る大規模マスゲーム「アリラン」の開催場として知られている。
綾羅島には、昨年から集中的に開発の手が入り、プールや水族館、遊園地がつくられ、今年は国際サッカー・スクールとスポーツ公園がオープンしている。
去年7月、綾羅人民遊園地の完工式に出席した金正恩第一書記が、楽しげに遊具に乗り、その写真は世界に配信された。
(※半島focus「最前線視察と木造船」参照)
いまは、島全体が一つの総合的なレジャーランドとなり、「アリラン」公演が重なる夏は深夜まで多くの市民で賑わっている。さらに遊戯施設の拡張が続き、最近は3D映画館が開館した。
夕方になると色鮮やかなイルミネーションに灯がともり、「苦難の行軍」時(1990年代後半)の生活苦は想像できない。
綾羅島で目にする光景は、北朝鮮全体の生活水準を反映するものではないが、平壌市民の生活の余裕を否定することもできないだろう。
西側の意図的なメディアは、北朝鮮に建てられている豪華な施設は限られたエリートが楽しむものと報じている。
しかし、綾羅島で遊具にのり絶叫を発する人々、3D映画の立体感を家族で体験する人々は数万人にのぼるだろう。この人たちは、エリートとは限らない。多くは一般市民だ。
(アジア・ウオッチ・ネットワーク 北朝鮮取材班 / 2013年10月)